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題詠2012を完走された方のお歌から5首、選んで鑑賞させていただいています。

今回はさとうはなさん。
女性らしい繊細な感覚と愛らしい印象をもつお歌が多い、はなさん。






004果  身のうちにためらひはあり ひとふさの果実分け合ごとき出会ひに


「ひとふさの果実」という語からやはり葡萄を思い浮かべる。
いくつもの粒の集合体である葡萄。
すぐにははかりかねる相手との関係や距離を自分の中で、
なんども問いながら日々を過ごしている。
それは葡萄を一粒ずつ口に運ぶ仕草に似ているのかもしれない。
そして、相手も同じように内心では戸惑っているのかもしれない。
「ひとふさの果実分け合うごとき」という直喩が巧みだなと思った。
もしかしたら恋かもしれない、いや違うかもしれない・・・
最初の淡い気づきとためらいの感情が詠まれていて、とても初々しい。


035むしろ  むしろ闇 花はこびゆくゴンドラがしずかにひらく春の水面は


初句の断定が潔い。
うららかな春の光景。春の川、ゴンドラ、花、みな美しい季節だけれど、
美しいものが通っていく過程で、ひそかに存在する闇に気づいてしまう。
湖の水に深い深い哀しみが潜んでいるのだろう。
どこまでも美しい世界に、たしかに存在する冷たい哀しみ。
けど、しずかにその闇の深淵をみつめているようだ。
作者のなかには、そんな覚悟があるのかもしれない。静寂をたたえた美しい1首である。


059貝  八月の波打ち際の駅長に切符のごとく渡す巻貝


絵本か童話の挿絵になってしまいそうな1首だな、と思った。
「巻貝」はいつかの海での思い出の象徴だろうか。
「駅長」はかつての作者を知っているひとだろうか。
駅も電車もむかしと変わらず海のそばに存在していて、
その一方で、ながいながい時間の果てのふたりの再会だろうか。
「切符」はなにかの決意のあらわれだろうか。
夏の盛りの海辺なのに、とても静かで、ほかの人たちの夏の時間とは切り離された空間が
ひっそりと成立している。
波の音や潮の香まで感じられるような情景である。


064志  口づけが未遂に終わる放課後の固い意志など音符のようで


きっとたやすくは遂げられない恋なのだろう。恋しないほうがいい相手なのかもしれない。
今日は「未遂」のままでおわった口づけ。
相手への高まる気持ちを封じていられるのは、いつまでなんだろう。
ポロン、と一音髙く鳴って終わる音符の脆さがこれからの関係の暗示だろう。
「未遂」はあくまで今日のかたちであって「固い意志」といいながらこれからのことはわからない。
とても危ういバランスの上にいる、不安定さや戸惑い。言いさしの結句が余韻を残している。


071籠  傷ついた記憶はやがて香るから誰もがひとつ花籠を持つ


読んでみて、なんだか救われるような印象があった。
「傷ついた記憶」はきっと、誰しもひとつやふたつではないのだろう。
いくつもの記憶がいつか香を放つころまで、そして香りだした後も、
ずっと抱えていくための、花籠を持っている。
おそらく外からは見えないであろう、
その美しい花々の籠をそっと見守っているような視点を感じる。



とても繊細で甘やかな歌が多いですね。
はなさんの中にある、いくつもの幻想的なシーンを
歌をつうじて見ているような気がします。
これから先も、内にある感覚を大事にして詠んでいってもらえたらと思います。


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2012.12.01 Sat l 題詠2012 鑑賞 l コメント (2) トラックバック (0) l top

コメント

ありがとうございました
こんにちは。すてきな歌評をありがとうございました。
なんとなーく詠んだうたにもすごく良い意味をつけてくださってとてもあたたかい気持ちになりました。
本当にありがとうございました。
2012.12.02 Sun l さとうはな. URL l 編集
とても素敵な100首でした。
こんにちは。
コメントありがとうございます。

美しい歌が多くて、選ぶのは悩みました。
はなさんのお歌はきれいなのですが、
単なるきれいさ、かわいさで終わらないところが
いいんだろうと思います。
これからもよろしくお願いしますね^^
v-22
2012.12.02 Sun l 白亜. URL l 編集

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