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題詠2012の完走後、夏実麦太朗さんから7首選んでいただきました。

以下、選歌いただいた内容です。
☆印つきがいちばんのお気に入り、とのことです。




025:触
この胸の熱さにいまだ触れもせず わたしのなにがわかると言うの

050:活
だれの影を追っていたのか 在りし日に活動写真に見入った祖母よ

051:囲
もう誰もいないいらない囲炉裏には西からの陽のしんしんと射す 

061:企
木苺のジャムを煮ながら企てを鍋と語らう 魔女3年目 

066:息
すうすうと寝息をたてる猫の毛をそよぐ風がいいます、春です 

090:舌
ひそやかに雪の降りつむあさぼらけココアを猫舌のひとと飲みます

☆091:締
水道の蛇口をきゅっと締めながら転校すると告げたね、君は 



去年までは、ほかの方々の選ばれる7首を見ていただけなので、
いざ自分の100首から選んでいただくとなると、
「どれを選んでくださるんやろ・・・」とか
ちょっとどきどきして待っていました・・・・。

今回の題詠では文語・口語それぞれほぼ半数ずつ詠んでみました。
・・・・・・・・・・・が、麦太朗さんが選んでくださったのは
口語歌ばかり・・・・ですね。
麦太朗さんご本人が口語の歌を好まれるせいなのかな、
・・・・私の文語の歌ではお気に召さなかったのかな・・・・
とかちょっと悩みました・・・・


「囲」や「企」はかなり苦戦したお題でした。
特に、「企」は最初は企業とか企画とか、固いイメージしかわかなくて
どうしたものか、かなり悩んだ記憶があります。
どこから「魔女3年目」なんていうイメージがわいてきたのか
いまもって謎ですが、意外と気に入ってくださる方がいて
嬉しいことです。
麦太朗さんに選んでいただけて、苦労が報われた感じもします^^

☆がついたのは、「締」ですね。
詠んだ内容は、わたしにとっては、
中学生くらいの思い出の中のイメージがもとになっています。
もう会うことのできない友達ですが、たまにふっと、
歌の中に出てきてくれる感じがします。

「企」「囲」以外は、わりと素直に詠めた歌を選んでいただけたようです。
どのあたりを気に入ってくださったのか、聞いてみたい気もするのですが・・・。
今回の題詠では口語の歌も改めて、難しいものだなぁ。。。と思いました。
もっともっと、いろんな歌に出会って、
感覚を磨いていきたいものです。

題詠を完走したひとに「お疲れさまー」という感じで、ぱぱっと
お気に入り7首を記念のように選んでくださる麦太朗さん。
今回はありがとうございました。







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2012.11.29 Thu l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
題詠2012を完走された方のお歌から5首、選んで鑑賞させていただいています。

今回は、紗都子さん。
とてもやわらかな感性をお持ちで、うらやましなぁ・・・と思いながら
眺めてきた歌がいくつもあります。





002隣  春隣ねむるあなたの睫毛からこぼれるものをやさしく舐める


「春隣」というと、冬の季語である。冬も終わりに近づき、もうすぐそこまで春がきているころ。
長かった冬の終わりに、眠っている者の眼から零れていくのは、涙だろう。
あるいは、その原因になっている哀しい夢や思い出かもしれない。
静かに眠るひとをそばでそっと見守っている、そんな優しい雰囲気をたたえた歌である。
いちばん最後の語が「拭う」ではなく「舐める」というところが、
相手との距離の近さや関係の深さをうかがわせて、
冬のなかのまどろみの時間の温かさを思わせるのだ。


007驚  驚いて振り向くときのまなざしにスライスされた歪なレモン


一読して、鮮やかな1首だとおもった。ただ、読み解こうとすると難しい。
それは下の句の意味するところがすぐには思い描けなかったから。
言わないほうがいいことを告げてしまったのではないだろうか。
その瞬間、相手の驚いたときのまなざしに見つめられて、歪んでしまったものはなんだろうか。
打ち明けたわたし、ふたりの間の空気、いままでの関係、これからの時間・・・?
わたしが放った言葉のあとの、薄くそがれてしまったゆがんだ時間の亀裂にただただ強く、
レモンの果汁がしみ込んでくるようだ。ひりりとした痛みをかんじてしまう。


015図書  記憶からこぼれていった鳥たちの名に会いたくてかよう図書室


図書室とは、不思議な空間である。
夢中になって読んでいた絵本や図鑑、物語がずっと待っていてくれる、
ゆったりとした場所である。
大人になっていくにつれ時間に追われ、思い出すこともなくなっていく本のなかの世界の断片。
「鳥」はかつてはまなざしの先にいたはずなのに、
その姿や名前を思い出すことさえ少なくなっていく。
図書室に足を踏み入れることで、少しずつ見失っていた断片を
つなぎあわせていくのかもしれない。


046犀  天上に浮かぶ小さなてのひらが金木犀の香を撒いている


初秋のころに強く香る、金木犀。
だれもが覚えのある香りを放つ、小さなオレンジ色の花。
風の様子は目には見えない。けれど、香りを広めていく風の動きを
「小さなてのひら」とした視点が微笑ましい。
ささやかな視点なのだけれど、金木犀のつよい香りを思い出しながら、
せっせと香りを伝えようとするまだ幼い子の手の動きをつい想像してしまうのだ。

086片  片方を失うことのかなしみの一番ちいさいかたちはピアス


2つで、ワンセットのピアス。その片方をなくしてしまっては、もう片方も意味を失う。
「ピアス」というささやかなアクセサリーに託して詠まれた、
とても大切なものを失ってしまったときの痛みを思い出す。
もう戻ってはこないだろうピアスの片方を思って、残った方を見つめるしかないのだ。
掌のなかに残されたピアスの片方は、
取り残された涙の粒みたいな形なんじゃないだろうか。
さらさらと歌を辿っていって、最後に出てくる「ピアス」の一語が
ひんやりとした哀しみの余韻を残す。






紗都子さんのお歌には、ずっとずっと憧れていたので、
今回、選歌をさせていただけて、本当にうれしかったです。

女性らしい、やわらかい感覚や視点を
1首のなかに巧みに閉じ込められていて
これからも、どんなお歌を詠まれていくのか、とても楽しみです。
  


2012.11.23 Fri l 題詠2012 鑑賞 l コメント (2) トラックバック (0) l top
題詠2012を完走された方の100首から5首、選ばせていただき
(生意気ながら・・・・)感想も少し加えていきたいと思います。


初回は三沢左右さん。
文語・口語の両方を自在に使って詠まれる、器用な方です。


006時代  君と見しキネマのゲイリー・クーパーの若き微笑を時代と呼ばん

ゲイリー・クーパーといえば、良き時代のアメリカを思わせる俳優である。
まだ映画が人々の大きな娯楽だったころの、見ている側がスクリーンの中に
各々の感覚や感情を託すことがしやすかったころの、象徴のひとりだろう。
「君」「キネマ」「ゲイリー・クーパー」といった、上の句のカ行の音の連なりがなめらかに
下の句につながっていく。そして「時代」という重みのある一語にしっかり託されているのだ。
1首のなかにうまく世界を閉じ込めているな、と思った。


043輝  蝉の背の輝きに似て夏の日の水ぎはの君の踵まばゆし

夏、水際で恋人の足元を見ているのだろう。
「蝉の背の輝きに似て」という表現がどこか切なく美しい。
はかなくて、壊れやすいものを、近くで静かに見ている眼差しを感じさせる。
夏の陽のなかで、きらきらと光る滴、響く笑い声、
淡い思い出がそっと描かれている。


053渋  少女にも似合う渋さがあるという ペットボトルのはじめひと口

左右さんのお歌のなかで、子どもを詠んだ歌がいくつかある。
その中で、もっとも印象に残った歌だ。
「少女」と「渋さ」の組み合わせがまず目に留まった。
その例としてあがったのが「ペットボトルのはじめひと口」というのが
さすがに、よく見ている人なのだろうと思う。
左右さんは絵を描くひとなので、普段からよく周りの人の仕草や表情を見る目が
養われているのではないかな、と思う。
絵を描くとき、歌を詠むとき、なにげない日常のなかにある美しさを
さりげなく写し取る、そんな静かだけど確かな眼差しが感じられる。
ふと立ち止まって、あらためて自分のまわりを見つめなおしてみたくなるような
再発見の楽しさを感じる歌である。


068巨  巨きなる夜のもれ入る真闇にも染まで揺れたる火に鬼哭けり

まず下の句の「火に鬼哭けり」の韻律に魅かれた。
「鬼」の一語はとても強いイメージを持つ語だし、人によってさまざまなイメージを抱くから、
安易に頼らずによく考えて使いたいですね、と左右さんとやりとりしたことがある。
この歌の中の鬼は、火に、そして火の中に何を見たのだろうか。
暗闇のなかで一点、赤々と燃え揺れる火に決して届かない、手に入らないなにかを
見出したのだろうか。
深い闇と、赤く燃える火の鮮やかな色の対比のなかで、鬼の慟哭が
なにやら悲痛なものに聞こえるのである。


081秋  羽をつままれ背を丸め秋アカネ無数に割れた空を見上げる

おそらくは子どもの手で捕らえられてしまっただろう、一匹の秋アカネの視点での歌だ。
昆虫の目線で空を仰いだら、どんなだろう。
まして、捕らえられた直後とあっては・・・・・・・。
今まで飛んでいた空はもはや別の世界となってしまう。
「無数に割れた空」という表現がなんとも無残な印象を残していて
読むものの中に小さな痛みを残すのだ。




美しい歌や発想の面白い歌が多く、選ぶのにはかなり悩みました。
文語では情景の美しいお歌、
口語では発想の面白い、着眼点の鋭いお歌で
左右さんの想像力やイメージの広がりがよくいきているのではないかな、
と感じました。





2012.11.19 Mon l 題詠2012 鑑賞 l コメント (2) トラックバック (0) l top
私にとっては、初参加であった題詠2012を完走しました。
完走にあたって、自分にとっての感想をまとめておこうかな、と思います。

去年までは題詠の存在は知ってはいても、あまり参加しようという気はおこらず
他の方のお歌を見ているだけだったのですが、
もっといろんな歌を詠めるようになりたい、と思い参加いたしました。

今回の参加にあたって自分に対して課したルールは次の3点です。
①ひとつのお題について、文語、口語少なくとも1首ずつ詠んでみること
②そのうえで、良いと思ったほうを投稿すること
③最終的に、文語歌・口語歌それぞれ半数50首ずつくらいになるように配分すること

もともと、口語でばかり詠んでいました。
単に私に文語で歌を詠むほどの力量や知識がなかっただけなのですが、
今回、100ものお題について文語で詠むことは
すごくいいトレーニングになった、と思います。

いざ文語で詠み始めた頃は辞書をひきひき、おっかなびっくりだったのです・・・。
文語で詠んでいるあいだに、日本語がもつ美しさや響きのなめらかさ、
繊細でこまやかな表現に適していること、
身の回りの自然や季節の移り変わりへの敏感さ、等々
和歌のなかに根付く感覚に驚き、もっともっと、
古典的作品にも触れていきたい、と強く感じました。

また、意外なことかもしれませんが、
文語の歌に接するなかで調べの美しさや繊細な言葉選びの大切さを知る、
といったことを通じて、口語で詠むときにも、
これまで以上に言葉の選び方や韻律に気を配るようになったので
そのことも文語で詠むことから得られた貴重な収穫だったと思います。



うたのわ、という短歌投稿サイトには、かなり前から参加はしていました。
でも、本当に詠む楽しみを実感できたのは、この1年半くらいの期間です。
もっともっと、いろんな歌を詠めるようになりたい、
文語でも口語でもいいと思う歌をたくさん吸収したい、
そんな気持ちが膨らんでの題詠参加でした。
とてもいいトレーニングの場であり、ほかの方のお歌を拝見することもできる、
貴重な機会だったと思います。

これからしばらくの間はほかの方々のお歌の選歌、
そしてできたら感想も加えて記事を投稿してみたいと思います。
どんな素敵なお歌に出会えるのか、楽しみです。

2012.11.17 Sat l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
【001 今】 
 たんぽぽの綿毛をすくう風の手のような君の誘いに今を委ねる

【002 隣】 
 天窓の淡きひかりを名残とおもふ きみの隣にゐながら我は

【003 散】 
 散りゆくは雪と見紛ふ桜ばな 闇深ければ白映えまさる

【004 果】 
 世界の果てまで行って戻ってきたカオしてる君におかえりと言う

【005 点】 
 紙のうへ 穂先と交はる一点に何託すらむ きみの青空

【006 時代】
 奪はれし子ども時代のふる傷を包むかのごと 陽だまりのうた

【007 驚】 
 驚くなかれ わが恋は火の粉となりて花散る夜を朱に染めたり

【008 深】 
 光なき世にうごめくは深海魚 内なるひかりを未だ知らざり

【009 程】 
 愛しあうまでの過程をひとつずつ確かめていく君のゆびさき

【010 カード】 
 CDの歌詞カードのなかをお散歩 わかるよ、君は2曲目がすき

【011 揃】 
 お揃ひの茶碗をいろどる花模様 そと拭きをればはらりと雪は

【012 眉】 
 頑固さを象っていたのね、眉は 柔和なかおの異質な傾き

【013 逆】 
 水面には揺れつ光りつ逆さまの吾と世の境のほどけゆくさま

【014 偉】 
 本棚に偉人伝なんかまざるころ私の背丈を抜いていったね

【015 図書】
 司書てふ名の精のまもりゐるらし 図書館と呼ばるる本の森には

【016 力】 
 なみだ雨 無力に哭く人らの声をモノクロの奥に追いやらないで

【017 従】 
 従順なばかりに病みし友の魂の堕ちゆく世に救ひなきかな

【018 希】 
 希ひごと ひとつ叶へば灯さばや いつしか星にかはるキャンドル

【019 そっくり】
 うしろからそっくり私を包むなら詠おうね 黄昏に覆われるまで

【020 劇】 
 「真実」てふ劇薬入りの小瓶なり 重重扱ひ注意されたし

【021 示】 
 指し示すゆびを彩る夕の日に 誘われたのか赤蜻蛉

【022 突然】
 突然の災厄の前と後とがつながらぬまま ふたたびの春

【023 必】 
 必ずてふことのはの重みを知らで交はせし誓ひの蔦からみゆく

【024 玩】 
 玩ぶごとくにピアス揺らしたる君の指の熱を忘れじ

【025 触】 
 この胸の熱さにいまだ触れもせず わたしのなにがわかると言うの

【026 シャワー】 
交はしあふまなざしもゆらに揺らぎつつシャワーの糸のはざまへと消ゆ

【027 損】 
 ごきげん損ねたくないから内緒 ソウサ、君ハ知ラナクテイイ

【028 脂】 
 窓辺には無脂肪乳ラテと私だけ 君のいない世界をひとくち

【029 座】 
 海からの風くるところに椅子ひとつ 君の歌集とともに座るよ

【030 敗】 
 われらみな敗者なるべし たまきはる命の露と消ゆるかのとき

【031 大人】
 大人になる前にあなたに会いたくて金の砂漠へ飛びました 

【032 詰】 
 虹の粒が詰まっているかもしれない金平糖の小瓶をのぞく 

【033 滝】 
 沈黙の水面より来し青年の内に流るる滝つ瀬のおと

【034 聞】 
 枕辺に夜ごと語りを連ねては聞かせてしがな 愛をまつひと

【035 むしろ】 
 からみあう蛇の争い なおつづくならむしろ祝いの盃を

【036 右】 
 つぎまでは待てぬと伸ぶる右手ふたつ ぬくもり結ぶねこやなぎの芽

【037 牙】 
 魂ひとかけ委ねぬままに鋭き牙をもつもの終の夜明け迎へぬ

【038 的】
 的確なアドバイスの針ちくっとしてじわじわ、沁みこんできてしまう 

【039 蹴】 
 行く道をはばかる草木蹴りすすむ君な迷ひそ あかときの森

【040 勉強】
 勉強しつづけてやがて侵すのだろう 父亡きあとの書斎の闇を 

【041 喫】
 喫茶店のソファで綴る文字ごとに重たくなるね ノートも地球も 

【042 稲】
 子の頭を撫づるがごとき手つきにて稲と語らふ老農夫 

【043 輝】
 輝きは誰がためのもの 胸元の真珠とともに踊る貴女の 

【044 ドライ】 
 ドライヤー振りつつあつき風からめ君よ梳きませわが濡れ髪を

【045 罰】
 科びとよ 君のうたの海越ゆるときほの温もるか 罰受くる身は

【046 犀】
 直黒に2Bで犀の眼を描き顔を上ぐれば風のいろ見ゆ 

【047 ふるさと】
 廃墟には花のひとつが揺れていて ここがわたしのふるさとでした 

【048 謎】
 またひとつ嘘はまなざしに脱がされて謎は果てなき夜にとかれる 

【049 敷】
 ゆく雲は川の向こうの花霞 ビニールシートを青空に敷く

【050 活】
 だれの影を追っていたのか 在りし日に活動写真に見入った祖母よ
2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
【051 囲】
 もう誰もいないいらない囲炉裏には西からの陽のしんしんと射す 

【052 世話】
 旋回で「世話になった」と告げる君の飛びたつ空はどこまで青い 

【053 渋】 
 いくそたび名を呼ばふかな 渋げなる月にかくるる君を求めつ 

【054 武】
 武庫川沿い 7年ぶりに車窓から夕焼けのいろに溶けこんでみる

【055 きっと】
 あなたの歌を口遊んでいるだろう すべてがおわる朝にも、きっと

【056 晩】
 ふたりだけの晩酌もいいね グラスの瑠璃いろに夏を透かしみる 

【057 紐】
 髪はらふ指からみし肩紐は菊のはなびらのごと落ちぬ 

【058 涙】
 抱かるるに涙え拭かずシャボン玉 淡くふちどる陽のいろおもふ 

【059 貝】
 夢に会ふ君に問ひたし さくら貝拾ひし浜辺の音はいづこと

【060 プレゼント】
 プレゼントを抱ふる子のゐて降る雪の白き家並の灯ぞあたたけき

【061 企】
 木苺のジャムを煮ながら企てを鍋と語らう 魔女3年目 

【062 軸】
 いつのまにかゆがんだ軸に肉をまとい人を演じるのに疲れた、僕は 

【063 久しぶり】
 栗の香のお茶を飲むのは久しぶり 落ち葉の色もいまなら好きです 

【064 志】
 志を決めて旅立つ君の背に見えない翼を描きたしておく 

【065 酢】
 酢のもののきゅうりとじゃこの間柄 異質なままでなじんでみたい

【066 息】
 すうすうと寝息をたてる猫の毛をそよぐ風がいいます、春です 

【067 鎖】
 朝まだき鎖さるる窓に立つきみとそつと手を振りかはすたまゆら 

【068 巨】
 あをき影咲きては散りぬ 巨大水槽に魚と陽とが交じるまひるま 

【069 カレー】
 「カレーなら僕でも作れる」恋人の試験官となる午後6時

【070 芸】
 作品を抱えていくのは芸大生 さくらさくらを覚えたばかりの

【071 籠】
 夜籠の窓辺にひらく古書の文字をあはくいろどる月のさやけさ 

【072 狭】
 いくつかの秘めごと埋めし狭庭には緋色ほつほつ薔薇の咲けり 

【073 庫】
 鞄には文庫本を欠かさぬ人よ 頁から零るる景色を拾ふ手をして 

【074 無精】
 めずらしく無精ひげなど生やしてるあなたの顎を撫でる夜更けは 

【075 溶】
 はつなつの約束溶かしてしまおうか サイダーさわさわわたしを誘う

【076 桃】
 ゆつくりと桃を食むときよみがへる 少女をすてし夏のゆふべは 

【077 転】
 波寄れば浮輪ひとつが転びをり 夏の終はりのゆるやかなこと 

【078 査】
 「以上」の語で調査報告書を終へて深き穴よりやうやう出でぬ 

【079 帯】
 ゆふまぐれ 京の坂に蝶は舞ふ となりの君の浴衣の帯の

【080 たわむれ】 
 たはむれのくちづけなりとおぼゆるも名残の熱のたしかなること

【081 秋】
 紅葉の過ぎにし日々のいろをあつめいまひとたびの秋の訪れ

【082 苔】
 凪ぐる海のいろをおもひき はろばろとなべて苔むす都市のなきがら 

【083 邪】
 邪な正夢を見き あかときに君のまひろき背を覚ゆ  

【084 西洋】
 とりどりの果実が憂いをおびていく たそがれどきの西洋菓子店 

【085 甲】
 鼈甲の櫛をはづせり 黒髪の乱れもしらぬ春の夜の闇

【086 片】
 片翼になってしまった君の背を抱いて聴かせる Lovin'you  

【087 チャンス】
さにつらふ君のやはき手とらましを 今宵かぎりのチャンスと知りせば 

【088 訂】
 幾重ものキャベツの葉をはがしをり 訂してみたき君への慕情  

【089 喪】
 はらはらと葉の散るたびに消すメール 色づいたまま喪うなんて

【090 舌】
 ひそやかに雪の降りつむあさぼらけココアを猫舌のひとと飲みます

【091 締】
 水道の蛇口をきゅっと締めながら転校すると告げたね、君は 

【092 童】
 ツメクサの冠あみし草原の童うたのひびき遠かり 

【093 条件】
 紫のひかりを断てり 空火照 ふたり旅立つ条件として 

【094 担】
 霧深み担ひびとのなくすてふあふごなきままいかに告げまし

【095 樹】
 林檎の香ふりそそぎたる果樹園に汝がかんばせをみつけ出したり

【096 拭】
 ワイングラスを拭きつつきみは鼻歌を 月のきれいな秋の夜長に 

【097 尾】
 あとすこしで家族でなくなる日までの隙間にくらりと狗尾草を 

【098 激】
 濁音の雨に踊りつ ステップの激しさゆゑに斜線 ふたりは 

【099 趣】
 愛読書の趣向がだんだん近づいてふたりはゆっくりふたりになろう

【100 先】
 たやすくは先を語らぬひととゐて海に入りゆく落日を見る

2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
題詠2012、完走しました。


今回が初参加なので、完走できるかどうか不安でしたが、
なんとかゴールできました。
100題のうち、文語の歌と口語の歌をほぼ半数になるように
配置して詠んでみました。
私にとっては、なかなか難しかったのですが、すごくいい勉強になりました。

楽しい場をご提供くださった五十嵐さま、
ご覧下さった方々、ありがとうございました。
2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (2) トラックバック (1) l top
たやすくは先を語らぬひととゐて海に入りゆく落日を見る
2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
愛読書の趣向がだんだん近づいてふたりはゆっくりふたりになろう
2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
濁音の雨に踊りつ ステップの激しさゆゑに斜線 ふたりは
2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
あとすこしで家族でなくなる日までの隙間にくらりと狗尾草を
2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
ワイングラスを拭きつつきみは鼻歌を 月のきれいな秋の夜長に
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林檎の香ふりそそぎたる果樹園に汝がかんばせをみつけ出したり
2012.11.11 Sun l 題詠2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top
霧深み担ひびとのなくすてふあふごなきままいかに告げまし
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紫のひかりを断てり 空火照 ふたり旅立つ条件として
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ツメクサの冠あみし草原の童うたのひびき遠かり
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水道の蛇口をきゅっと締めながら転校すると告げたね、君は
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